
業務の概要
沖縄公庫とは?-沖縄公庫の業務内容-
地域に根ざした総合公庫
沖縄公庫は地域限定の政策金融機関として、本土における株式会社日本政策金融公庫、独立行政法人住宅金融支援機構及び独立行政法人福祉医療機構(社会福祉貸付を除く)の3機関に相当する業務に加え、沖縄の地域的な政策課題に応える独自制度、地域開発や事業再生を支援する出資及びベンチャー出資を一元的に取り扱っております。
沖縄公庫の特色
1.沖縄の振興開発における「車の両輪」
民間投資を支援する沖縄公庫の政策金融は、財政上の特例等による公共投資等の推進と並び、沖縄の振興開発における「車の両輪」として位置付けられます。
沖縄公庫は、国や沖縄県の沖縄振興策等と一体となった様々な融資制度を活用し、長期・低利の資金を一元的に供給する政策金融機関として、多様かつ高度な資金ニーズに迅速かつ的確な対応を図ってきました。沖縄の地域経済に精通した政策金融機関として、これまで沖縄振興策に対して積極的な貢献を果たしてきましたが、沖縄公庫には、今後もこの役割を果たすことが求められています。
2. セーフティネット機能の発揮
離島県である沖縄は、景気変動や自然災害などによる急激な社会的・経済的環境の変化の影響を大きく受けることから、企業や県民に対するきめ細かな対応に努め、セーフティネット機能の発揮に努めています。

ウクライナ情勢・原油価格上昇等関連特別相談窓口 | 米国自動車関税措置等に伴う特別相談窓口 |
主な特別相談窓口におけるセーフティーネット融資実績
米国同時多発テロ関連(平成13年10月11日~平成14年10月28日) | 99億円(358件) |
リーマンショック関連(平成20年9月24日~平成26年2月24日) | 285億円(347件) |
東日本大震災関連(平成23年3月12日~開設中) | 116億円(423件) |
新型コロナウイルス関連肺炎(令和2年1月27日~平成7年3月31日) | 令和7年3月末現在 4,041億円(19,661件) |
3.自立型経済の発展に向けたリーディング産業の支援
世界から選ばれる持続可能な観光地の形成
沖縄公庫は、国や県の観光関連施策に基づき、沖縄の歴史・自然・文化等の多様で魅力ある地域資源を活用した、高付加価値型観光の戦略的な展開等を行う観光関連事業者を支援し、世界から選ばれる持続可能な観光地の形成を推進します。

情報通信関連産業の高度化・高付加価値化を支援
沖縄公庫は、情報通信関連産業が、沖縄県におけるリーディング産業としてより一層の発展を遂げるため、情報通信関連事業者向けの貸付制度(独自制度)を創設し、沖縄振興施策における戦略的な情報通信関連産業の高度化・高付加価値化を支援しています。

アジアのダイナミズムを取り込む国際物流拠点の形成
沖縄公庫は、多様な国際物流ネットワーク強化と物流コストの低減、臨空・臨港型産業の集積促進及び県内事業者の海外展開促進とビジネス交流拠点の形成を支援しています。

4.創業・新事業展開への支援
創業や新事業の展開は、沖縄経済の振興や活性化にとって重要な要素です。
一方で、事業実績や担保提供可能な資産が十分でない創業期の事業者にとって、一般的に資金調達は容易ではありません。
沖縄公庫では、地域に根ざした総合公庫として、目利き力を発揮して新事業の可能性を見極めるとともに、独自制度である「沖縄創業者等支援貸付」や担保、保証に依存しない融資制度の積極的な活用、ベンチャー企業に対する「新事業創出促進出資」などにより、最適な金融サービスを提供しています。


5.地域経済の担い手、頑張る中小企業・小規模事業者を支援
小規模事業者に対する取組
小規模事業者に対しては、商工会議所や商工会、生活衛生同業者組合等と密接に連携し、無担保・無保証の貸付制度である「小規模事業者経営改善資金(マル経資金)」や「生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付(衛経資金)」により、経営改善や衛生水準の向上を支援しています。
また、平成24年度には沖縄県の施策に則して「沖縄雇用・経営基盤強化資金(沖経資金)」を創設しました。この制度は、商工会議所・商工会の実施する経営強化指導を受けている特定規模事業者を対象にした無担保・無保証の融資制度です。
事業特性に応じた最適な金融サービス
沖縄公庫は、事業特性や多様な資金ニーズに応じた最適な金融サービスを提供するため、動産評価アドバイザーや中小企業診断士、M&Aによる事業承継等に精通した人材「M&Aシニアエキスパート」、「事業承継シニアエキスパート」の養成を行っています。
事業者の経営力向上に向けた情報発信
沖縄公庫は、人手不足や原材料費高騰など事業者の課題解決に役立つセミナーの開催や、ホームページに「10分で学ぶ経営力アップセミナー」を掲載するなど、幅広く情報を発信しています。
事業承継に対する取組
沖縄公庫は、令和5年4月に事業承継分野等の取組を一層強化するため、「事業者支援推進室」を新設しました。専担部署である 同室が組織横断的なサポートを行うことに加え、沖縄県事業承継ネットワークに参画し、関係団体や専門家等との関係深化を図ることで、事業承継分野の支援を強化しています。
令和6年2月には県内事業者の円滑な事業承継を促進するため、「事業承継マッチングサービス(通称:事業承継コネクト)」を開始しました。
また、本・支店に「事業承継担当者」を配置し、事業承継の課題を抱える事業者の皆様が相談しやすい環境を整えています。
6. 離島・北部地域の振興・活性化を応援しています。
沖縄公庫は離島・北部地域の地理的・経済的諸課題に対応するため、独自の貸付制度や制度の特例を設け、離島・北部地域の振興・活性化を支援しています。

離島地域における医療施設の整備
沖縄は多くの離島を抱えることから、県民が等しく医療サービスの恩恵を受けられるよう離島・過疎地域での医療施設の整備を進める必要があります。沖縄公庫では、こうした離島・過疎地域での病院などの新築や増改築に必要な資金について、融資限度額の特例を設けております。
離島地域の人材育成
離島地域における高等学校は、久米島、宮古島、石垣島の3島にしかなく、それらの島々以外の離島居住者は、中学卒業後から親元を離れ、居住島以外の高校への進学を余儀なくされます。
また、専門学校、大学などへの進学に際しても教育費用は大きな負担となっています。
沖縄公庫では、利用者のニーズに則して教育資金の制度拡充を図り、離島地域における人材の育成を支援しています。

経済チバリヨー(ワイドー)懇談会の開催

中部経済チバリヨー懇談会(令和7年1月開催)の様子

北部経済チバリヨー懇談会(令和7年1月開催)の様子
各圏域における産業・地域経済の動向や沖縄公庫に対する事業者ニーズなどを把握し、地域と公庫の相互理解を深め、沖縄公庫が地域経済の自立的発展に一層貢献できるよう、経済チバリヨー(ワイドー)懇談会を開催しています。
【令和6年度の開催実績】
・令和7年1月中部経済チバリヨー懇談会・令和7年1月北部経済チバリヨー懇談会
【令和7年度の開催実績】
・令和7年6月八重山経済チバリヨー懇談会
沖縄公庫フォーラム2024の開催

沖縄公庫では、令和6年9月に「沖縄公庫フォーラム2024~激変する経営環境への新たな挑戦~」を会場(沖縄県立博物館・美術館講堂)及びオンラインのハイブリッド方式で開催しました。
本フォーラムの第一部では、琉球経営コンサルティング代表 築山大様による基調講演「稼ぐ力と人材育成」を行い、沖縄経済の現状・課題と稼ぐために必要なことについてお話しいただきました。
第二部では、沖縄県内で活躍されている三名の若手経営者をお迎えし、「変化を受け入れ事業に活かす経営戦略」をテーマに、次世代を担う県内経営者が時代の変化に応じて取り組んでいることについてトークセッションを行いました。
7.駐留軍用地跡地開発を支援
駐留軍用地跡地地区における融資実績
駐留軍用地跡地地区(桑江伊平地区、大湾東地区、大木地区、アワセゴルフ場地区、西普天間住宅地区)への事業系設備資金の融資実績は、平成27年度から令和6年度の累計で367件、187億73百万円となっています。

8.地方創生は「第2期総合戦略を踏まえた新たなステージ」へ-「沖縄版総合戦略」の推進-
地方創生は、国の「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」や「デジタル田園都市国家構想総合戦略」を踏まえ、沖縄県および県内各市町村においても、「第2期地方版総合戦略」が策定され、地域におけるプロジェクトの推進や観光・商工・農林等の各分野における施策が継続されています。令和7年6月に閣議決定された「地方創生2.0基本構想」では、地域のポテンシャルを活かした高付加価値化やAI・デジタル等の徹底活用、都市と地方の人材の好循環創出などが示され、各地域に適した主体的な取組が一層重要となっています。
沖縄公庫は、組織横断的な専担部署を設置し、公民連携により地域課題を解決するために、「コーディネート機能」、「コンサルティング機能」等のトータルソリューションを提供する業務を行っています。さらに、市町村との「助言業務協定」締結等により地域開発プロジェクト(PPP/PFI)の構想・形成段階から積極的に関与し、より豊かで特色あるサステナブル(持続可能)な地域社会を築く取組を支援しています。
今後も沖縄を対象とする総合政策金融の知見やノウハウ及び政府関係機関を含めた幅広いネットワークを活かし、国や県等の重点施策と一体となって沖縄振興に貢献します。
▼助言業務協定・締結先一覧
締結年月日 | 協定先 | 締結年月日 | 協定先 |
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平成19年 5月14日 | 北谷町 | 令和元年 8月 5日 | 名護市 |
平成23年10月18日 |
八重山3市町
(石垣市・竹富町・与那国町)
|
令和元年 9月 2日 | 金武町 |
平成26年 5月26日 | 宮古2市村(宮古島市・多良間村) | 令和元年10月 4日 | うるま市 |
平成26年12月10日 | 北中城村 | 令和元年12月16日 | 那覇市 |
平成27年 8月11日 | 南城市 | 令和2年10月 6日 | 読谷村 |
平成28年 1月26日 | 西原町 | 令和3年 3月 5日 | 与那原町 |
平成28年 8月12日 | 浦添市 | 令和3年12月 3日 | 宜野座村 |
平成29年 2月 7日 | 恩納村 | 令和5年 1月 27日 | 南風原町 |
平成29年12月 7日 | 座間味村 | 令和5年 9月 28日 | 糸満市 |
平成30年 2月23日 | 国頭村・大宜味村・東村 | 令和6年 2月 9日 | 宜野湾市 |
平成30年 6月29日 | 本部町 | 令和6年 11月 13日 | 今帰仁村 |
平成31年 3月 8日 | 八重瀬町 | 令和7年 8月 6日 | 豊見城市 |
平成31年 4月10日 | 久米島町 |
沖縄振興計画等と連携して、産業の振興と地域の発展を支援
その他の取り組み
- 2024年 9月25日 「沖縄地域PPP/PFIプラットフォーム 第15回セミナー」を開催しました
- 2025年 2月 5日 「沖縄地域PPP/PFIプラットフォーム 第16回セミナー」を開催しました
9.事業再生支援
事業再生に取り組む事業者を支援
社会的・経済的環境の急激な変化などにより、抜本的な経営改善や事業の再生に取り組む中小企業等への支援は重要です。沖縄公庫は、 物価高や人手不足、人件費上昇といった経営環境の変化やコロナ禍で増大した債務負担等により、依然として厳しい経営状況にある事業者に対し、資金繰り支援に取り組んでいます。
今後も引き続き、再生・再チャレンジ支援円滑化パッケージ等を活用して、顧客の特性や経営課題に応じた経営支援に取り組みます。
地域密着型金融機能を一層強化
沖縄公庫は、地域密着型金融機能強化の一環として、県内4行庫と 「業務連携・協力に関する覚書」を締結し、民間金融機関と協調・連携した事業再生の取組を推進しています。また、中小企業等の再生支援等を目的に設置されている「沖縄県中小企業活性化協議会」や、沖縄公庫を含む金融機関や専門家、支援機関等が加盟する「おきなわ中小企業経営支援連携会議」において開催される「おきなわ経営サポート会議」に関与する等、関係機関と連携した取組も行っています。
今後も引き続き、事業再生等で連携強化を図り、円滑な中小企業金融と地域経済の活性化のために地域密着型金融機能を一層強化していきます。